毎年5月、七尾の街は「青柏祭(せいはくさい)」で一年で最も熱を帯びます。
巨大な曳山「でか山」が街なかを進んでいく姿は、何度見ても胸が高鳴る光景です。
このページでは、
- 青柏祭と「でか山」のこと
- 祭りの時期に七尾へ来られる方への楽しみ方のヒント
- でか山にちなんだ花月のお菓子「長まし」と「でか山まんじゅう」のこと
を、和菓子屋の目線からお伝えします。
青柏祭と「でか山」とは?
青柏祭は、毎年5月3日〜5日に七尾市で行われる、能登を代表する春祭りです。
なかでも主役となるのが、高さ約12メートル、重さ20トンにもなる巨大な曳山「でか山」。
でか山は、すべて木で組み上げられた全身木造の曳山です。
巨大な木の車輪が「ギシギシ」と音を立てながら、狭い街なかを進んでいきます。
鉄ではなく、木と人の力で動く――
その迫力こそが、でか山の真骨頂です。
- 5月4日:大地主神社に三台のでか山が勢ぞろいする中日
- 5月5日:七尾湾を背に、能登食祭市場前に三台が並ぶクライマックスの日
いずれも写真映えする場面ですので、旅の計画の参考にしてみてください。
また、七尾の各町にはそれぞれの山紋(やまもん)があります。
山紋は町ごとの誇りを象徴する印であり、でか山の歴史とともに受け継がれてきました。

祭りを見る際は、山の装飾や人形だけでなく、ぜひ山紋にも目を向けてみてください。
ぜひ注目してほしい「でか山」の見どころ
でか山を初めてご覧になる方に、ぜひ知っておいていただきたいポイントがいくつかあります。
ただ「大きい山車が通る」のではなく、「どうやって動かしているのか」を意識して見ると、青柏祭はぐっと奥深く感じられます。
① 全身木造の山が曲がる瞬間 ――「辻回し」

全身木造のでか山が、方向転換することを「辻回し(つじまわし)」といいます。
巨大な山が、ぎしぎしと木の車輪を鳴らしながら、狭い街角を曲がっていく姿は、思わず声を失うような迫力です。
角を曲がる場面では、
- 山を引く人
- 後ろから支える人
- 声を掛け合いながら動きを合わせる人たち
それぞれの力と呼吸が合わさって、ようやく一歩、また一歩と前へ進みます。
七尾の人たちが代々受け継いできた「技」と「息の合い方」。
その象徴が、この辻回しです。
② 木遣り衆の掛け声にも耳を澄ませて

でか山の迫力に目を奪われがちですが、「音」にもぜひ注目してみてください。
山が動き出すとき、曲がるとき――
その節目には、木遣り衆の力強い掛け声が響きます。
同じ言葉、同じ調子の掛け声が何十人もの喉から重なり、
- 山を動かす合図になり
- 引き手たちの気持ちをひとつにし
- 見物客の気持ちまで高ぶらせます
でか山の車輪のきしむ音、太鼓や笛の音、そして木遣り衆の掛け声。
そのすべてが重なり合ってこそ、青柏祭ならではの空気になります。
祭りの余韻を、お菓子で持ち帰る
でか山の迫力、木遣り衆の掛け声、太鼓と笛の音など。
青柏祭のあの空気は、その場にいるからこそ味わえる特別なものです。
とはいえ、祭りが終わり七尾を離れてしまうと、
あの高鳴る気持ちや街の熱気は、少しずつ遠くなっていきます。
「この空気を、もう少しだけ日常のなかで味わえたら。」
そんな想いとともに、七尾の人びとは昔から“祭りと甘いもの”を一緒に楽しんできました。
ここからは、青柏祭の季節に欠かせないお菓子をご紹介します。
青柏祭といえば「長まし」

青柏祭の時期になると、七尾の和菓子店に「長まし」が並びます。
晴れの日のお祝いに添えられ、縁起物として親しまれてきた七尾銘菓。
花嫁のお披露目やお祝い事の席に欠かせない地元で定番のお菓子です。
長ましは、歯切れの良い餅で餡を包んだお菓子で、きめ細やかな餅肌としっかりとした歯切れが特徴です。
花月でも、昔からのつくり方を大切にしながら、丁寧におつくりしています。
でか山といえば「でか山まんじゅう」

花月の「でか山まんじゅう」は、青柏祭にちなんだお菓子です。
最大の特徴は、各町の山紋を焼印で押していること。
七尾の三町それぞれに受け継がれてきた山紋。
その誇りの印を、まんじゅうの表面に刻んでいます。
でか山には千年の伝統があります。
そのおめでたい歴史にちなみ、餡は白餡と梅餡を二層に重ねた紅白仕立てにしました。

皮はほんのり醤油味。
これは、祭りの席で振る舞われる“まつりごっそう”の味付けを表現しています。
紅白の餡、香ばしい皮、そして山紋の焼印。
見ても、食べても、青柏祭を感じていただけるまんじゅうです。
シーン別|どんなときにどのお菓子?
青柏祭の時期に七尾へお越しの際は、ぜひこんな楽しみ方をしてみてください。
- 見物のおとも・街歩きのおやつに
○ 手に持って歩きやすい「長まし」をひとつ。
○ 木の車輪の音を聞きながら頬ばるお菓子は、きっと思い出に残ります。 - ご家族や職場へのお土産に
○ 箱入りの「でか山まんじゅう」を。
○ 山紋の焼印が入ったまんじゅうは、話題とともに祭りの記憶を届けます。
どちらも、七尾の人びとが長い時間をかけて育ててきた、祭りとともにある味です。
でか山のときに食べるお菓子といえば――
花月の「長まし」と「でか山まんじゅう」。
そんなふうに皆さまの中でも覚えていただけたなら、和菓子屋としてこれほどうれしいことはありません。
まとめ|青柏祭の時期に七尾へ来られる皆さまへ
- 青柏祭は、七尾の人びとにとって一年でいちばん熱い季節。
- 全身木造のでか山と辻回しの迫力を、ぜひ間近で。
- お土産やご自宅用には、「長まし」と「でか山まんじゅう」を。
祭りの喧騒の合間に、ひと息つきたくなったら、どうぞ花月の暖簾をくぐってください。
お茶とお菓子とともに、少しだけゆっくりとした七尾の時間をお過ごしいただけたら嬉しく思います。
